湘南みかんぱん
神奈川県平塚市と大磯町に跨る高麗山(こまやま)は『東海道五十三次』では平塚宿にその姿が描かれ、町の人々は「だまかし山」とか「ペテン山」と呼んでいた。
江戸時代、東海道を京に向け歩き始めた旅人に平塚宿の女将はこう言ったそうだ。
「大磯宿はあの山の向こう。これから越えるのは大変だよ。今日はここに泊まっておいきよ」
実際の東海道は山を越えず海沿いを歩く。現在でもポコッと突如現れるその山は標高168mとは思えぬほど急峻で、越えるのは明日にしようと思うだろう。
登ってみると、見た目とは裏腹に、高来神社から1時間かからずに山頂に辿り着く。そこから湘南平まで縦走しても初心者から楽しめる山だ。
湘南平からは伊豆半島、箱根の山々の眺望、遠く伊豆大島そして富士山までも眺められる。
話はまたまた食いしん坊に変わってしまうが、湘南平の売店には湘南みかんぱんというものが売っている。久しぶりに食べようと気持ちいい風に吹かれながら売店へ向かった。途中、今日は完売との知らせ。
購入したゲストが、売店のおじさんがこれは“パン”じゃなく、“みかん”だと言われたと鼻息荒く教えてくれた。
しかし、これはみかんあんぱんって感じで“パン”だったよ、と夢をぶち壊すようなことを教えてあげた。
坂田山を経由し、高台の住宅地を抜け、大磯駅まで下山した。
有数の著名人が別荘をこの地に持ったのも納得の景色。
大磯駅の前にほっこりというお土産屋さんがあり、そこにもみかんぱんが売っているのを知っていた。
久しぶりに食べてみたら、“みかん”だった。
みかんあんぱんって言ってごめん!
※新型コロナウイルス感染拡大防止のため、高麗山公園駐車場は令和2年4月24日(金)から5月6日(水)まで閉鎖中。湘南平のレストラン、売店は令和2年4月24日(金)から当面の間休業しています。
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